「である」ことと「といえる」こと ~事実認定と法的評価について~

 なにか法律に関する問題やトラブルが発生した場合、その問題やトラブルが当事者の「事実」に対する認識のズレによって生じたものか、それとも「事実」には争いがなく事実に対する「法的な評価」の違いによるものか、を区別して考えることが有益です。  例えば、A社とB社の取引において次のようなトラブルが起きたとします。 A社の担当者:「先…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

会社への名誉棄損に対する懲戒処分、出向命令の有効性についての裁判例

【東京地判平成28年1月14日】(判例集未登載) 【事案の概要】  紙・パルプ製造会社(被告)の従業員(原告)が,「告発状」と題して会社の不正会計等を指摘する文書を作成・配布したことにつき、会社がこれを名誉棄損行為および情報漏えい行為にあたるとして降格処分および出向命令を行ったところ、原告がこれを拒否したために懲戒解雇されたこと…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

内部告発を理由とする懲戒解雇が無効であると判断した裁判例の紹介

【東京地判平成27年1月14日(労経速2242号3頁)】       <事案の概要> 本件は、配食サービス業者である会社(被告)を解雇されたパートタイマー(原告)が、勤務先の店舗の衛生上の問題について保健所に通報したことを理由とする懲戒解雇が無効であるとして、労働契約上の地位の確認と未払賃金の支払を求めた事案である。 …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「裁判で真実を明らかにする」なんてできない? ~論より証拠の法律学~

 われわれ弁護士が事件に関わるときには、まずは依頼者の話を聞いて、その話を基にして事件の大まかな出来事を捉えることになります。その際、弁護士は依頼者の話の一つ一つが「何かの資料によって裏付けられているか」を確認するのですが、なぜそれが必要なのかを考えてみましょう。  実際に起きた出来事はその瞬間から「過去」になりますから、それが何…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

相続税法違反事件につき逆転有罪となった裁判例の紹介

【大阪高判平成26年11月18日(判例集未登載)】 (原判決:神戸地判平成26年1月17日) <裁判所の判断の要旨> (被告人の相続財産に関する認識について) ・まず,家族名義財産のうちの子ら名義の財産についてみると、夫から子らに対して生前贈与がされた事実がなかったことは,証拠上明白というべきである。 ・つぎに家族名義…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

パワハラによる自殺につき会社と上司の損害賠償責任を認めた裁判例の紹介

【福井地裁平成26年11月28日判決(判例集未登載)】 <事案の概要> 本件は、死亡した従業員(X)の父が、消火器販売などを行うY産業(以下「被告会社」という。)とXの上司であったA(リーダー)及びB(部長)に対して、AやBによるパワーハラスメントや被告会社による加重な心理的負担を強いる業務体制等によってXが自殺したとして,上司…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「法的にものごとを考える」とは? 法律家の思考方法と実践について

 弁護士をしていると「最近こんなことがあったのですが、これは法的にどうなんでしょうか?」と尋ねられることがよくあります。この「法的にどうなんでしょうか?」という疑問は、一般の人にとって法的な整理の仕方がよく分からないために出てくるのだと思います。そこで、われわれ法律家がどのようにして法的にものごとを捉えて整理しているのかを考えてみましょ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

退職勧奨の違法性、うつ病との業務起因性を認めた裁判例の紹介

【京都地判平成26年2月27日(労判1092号6頁)】 <事案の概要> 宣伝広告の企画・制作会社(被告)のコピーライターであった者(原告)が、 ①会社の退職強要により精神的苦痛を被ったとして不法行為に基づく慰謝料200万円と遅延損害金の支払、 ②休職期間の満了による退職扱いが無効であるとして、労働契約上の地位確認および退職扱…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

研究不正(研究論文のねつ造・改ざん)に関する記事につき名誉棄損による損害賠償を認めた裁判例の紹介

【仙台地判平成25年8月29日(判時2211号90頁)】 <事案の概要>  国立大学法人E大学の総長であった原告(金属材料科学の研究者)が,被告Aを代表者とする「原告の研究不正疑惑の解消を要望する会(フォーラム)」のホームページ上において,原告が過去に発表した金属材料科学分野に関する論文にねつ造ないしは改ざんがあるとしてE大学…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

親子でなくても「親子関係」は否定されない?DNA鑑定と民法上の嫡出推定の関係について

Q 平成26年7月17日に出された最高裁判決によれば、DNA鑑定によって生物学上の父親でないことがはっきりした場合でも婚姻中に妻が妊娠した子であれば夫の子である(嫡出である)ことが推定されるので夫と子の親子関係は否定されないことになりますが、生物学上の親子関係と法律上の親子関係に食い違いが生じてしまいませんか? A DNA鑑定の結…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

AKB48らの楽曲の違法アップロードにつきプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報の開示を認めた裁判例

【東京地判平成26年6月25日(判例集未登載)】 <事案の概要>  レコード製作会社である原告らが,インターネット接続プロバイダ事業を行っている被告に対し,原告らが送信可能化権(著作権法96条の2)を有するレコードが氏名不詳者によって原告らに無断で複製され,被告のインターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態に置かれたことに…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

課徴金と罰金はどう違う? 課徴金と刑罰の併科と「二重処罰の禁止」について

Q 商品やサービスの偽装表示の問題について、先日、内閣府の消費者委員会から景品表示法を改正して課徴金を導入すべきとの意見が出されました。また、インサイダー取引やカルテルなどの違法行為につき課徴金納付命令が出されたというニュースも時々耳にします。そもそも課徴金とはどのようなものですか。罰金とはどう違うのでしょうか? A 課徴金とは、…
トラックバック:0
コメント:1

続きを読むread more

いわゆるサイバーポルノと改正刑法175条に関する裁判例の紹介

【東京高判平成25年2月22日(判時2194号144頁、判タ1394号376頁)】 <事案の概要>   第一審判決(原判決)によれば,被告人は, (1)アメリカ合衆国内に設置されたサーバコンピュータ上に、わいせつな動画データファイルや、わいせつな電磁的記録を含むゲームソフトのゲームデータファイルを記録・保存し、これらをインター…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

会社法210条の「著しく不公正な方法による新株発行」の差止めに関する裁判例の紹介

【東京地決平成25年5月28日(判例集未登載)】 <事案の概要>  コンピューターソフトウェアの企画制作や不動産の売買等を目的とし,ジャスダック市場に株式を上場している株式会社(債務者)の株主ら(債権者)が,会社の行った募集株式の発行が会社法210条に定める法令違反又は著しく不公正な方法による発行に該当するとして,本件新株発行の…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

有期労働契約の更新拒絶(雇止め)、パートタイム労働法8条の「差別的取扱いの禁止」に関する裁判例の紹介

【大分地判平成25年12月10日(労政時報3865号14頁)】 <事案の概要>  使用者(被告)との間で期間の定めのある労働契約を反復して更新していた労働者(原告)が, ①被告が契約期間満了前の更新の申込みを拒絶したことにつき客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、被告は従前の有期労働契約の内容である労働…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

顧客情報の漏えいにつきサイト運営会社の情報セキュリティ対策義務違反が認められた裁判例の紹介

【東京地判平成25年3月19日(判例集未登載)】 <事案の概要>  クーポン共同購入サイトの運営会社(被告)の顧客情報が漏えいしたため、その会社が利用していたクレジットカード決済サービスの提供業者(原告)が調査費用等の損害を被ったとして損害賠償を求めた事案 <裁判所による判断の要旨> (認定された事実) ・原告と被告は…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ゴルフのプレー中の事故につき同伴プレーヤー、キャディ、ゴルフ場の損害賠償責任が認められた裁判例の紹介

【岡山地判平成25年4月5日(判例時報2210号88頁)】 <事案の概要> 本件は、ゴルフのプレー中に同伴プレーヤーのY1が打ったボールがXの左目に当たり失明したとして、Y1とキャディのY2、ゴルフ場を運営する会社に対して損害賠償として約7300万円を請求した事案 <裁判所による判断の要旨> (認定された事実) ・Xは…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

英会話教室の経営破たんにつき取締役の第三者に対する損害賠償責任(会社法429条)を認めた裁判例の紹介

【大阪高判平成26年2月27日(金融・商事判例1441号19頁)】 <事案の概要>  平成19年11月に破産した外国語会話教室ノヴァ(NOVA)の受講生(控訴人ら)が,ノヴァの代表取締役1名,取締役4名,監査役5名及び会計監査人たる2監査法人(被控訴人ら)に対して, ①控訴人らとノヴァとの各受講契約締結時において,ノヴァの財政…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

暗号化ソフトの脆弱性を狙ってサーバーに不正に侵入して個人情報を流出させるのは何罪になる?

Q 先日、三菱UFJニコスのWebサービスに対してオープンソースの暗号化ソフト「OpenSSL」の脆弱性を狙った不正アクセスがあり、同社のクレジットカード会員894人分の個人情報が流出した可能性があるとのニュースがありましたが、こういう行為をするとどのような罪になるのでしょうか? A 本件ではOpenSSLを利用しているサーバーに…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

相続税法違反事件につき被告人に脱税の意思がないとして無罪判決が出された裁判例の紹介

【神戸地判平成26年1月17日(判例集未登載)】 <事案の概要> ・死亡した夫の財産の全部を遺産分割により単独で取得した被告人が,相続税を免れようと企て,実際の相続税課税価格が10億6360万5000円,相続税額が2億2976万500円であったにもかかわらず,相続財産から預貯金,株式等を除外する方法により相続税課税価格を減少させ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

配転命令の有効性、労働基準法41条2号の「管理監督者」についての最新裁判例の紹介

【東京地判平成26年2月28日(判例集未登載)】 <事案の概要> 未上場株式等への投資業務,投資ファンドの運営管理業務等を行う株式会社である被告に勤務している原告らが, ①被告が原告らに対してした訓戒の懲戒処分の無効確認 ②被告が原告らに対してした各配転命令の無効を理由とする,原告らが投資情報調査室(配点先)に勤務する雇用契…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

日本で懲罰的損害賠償は認められる?

Q アメリカ合衆国ルイジアナ州ラファイエット連邦地裁での武田薬品工業と米イーライ・リリーに対する製造物責任訴訟において、両社が糖尿病治療薬「アクトス」に関する健康上のリスクを隠していたとの評決がなされ、両社に計90億ドル(約9300億円)の懲罰的損害賠償が命じられましたが、日本でもこのような懲罰的な意味合いでの損害賠償が命じられることが…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

従業員のメンタルヘルスとプライバシー、会社の安全配慮義務についての最高裁判例の紹介

【平成26年3月24日 最高裁判所第二小法廷判決(判例集未登載)】 <事案の概要>  被上告人たる会社の従業員であった者(上告人)が,鬱病に罹患して休職し休職期間満了後に会社から解雇されたが,上記鬱病(以下「本件鬱病」という。)は過重な業務に起因するものであって上記解雇は違法,無効であるとして,会社に対し,安全配慮義…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

労働基準法38条の2「事業場外労働のみなし所定労働時間」についての最高裁判例の紹介

【平成26年1月24日 最高裁第二小法廷判決(判例集未登載)】 <事案の概要>  本件は,添乗員として旅行業を営む会社に派遣され,同会社が主催する募集型の企画旅行の添乗業務に従事していた労働者(被上告人)が,使用者たる会社(上告人)に対し,時間外割増賃金等の支払を求めた事案。上告人は,被上告人が従事していた添乗業務については労働…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

不正競争防止法によるドメイン名の差止請求、法人格否認の法理が認められた裁判例の紹介

【東京地判平成25年7月10日(判例集未登載)】 <事案の概要> 「CENTURY21」の名称を用いてフランチャイズチェーンを営む原告が,フランチャイズ契約が解除されたにもかかわらず「CENTURY21.CO.JP」(以下「本件ドメイン」という。)のドメインを使用していた被告に対して, ①フランチャイズ契約又は不正競争防止法2…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

日本の不正競争防止法とアメリカ経済スパイ法はどう違う?

Q 東芝の元社員が韓国のSKハイニックス社に半導体メモリーの研究データを漏えいした事件が話題になっていますが、海外企業に技術情報などを漏えいする経済(産業)スパイ行為は、国内での営業秘密の漏えいよりも罪が重くなるのですか? A 日本の不正競争防止法では、営業秘密の不正取得行為等の「不正競争」行為について、10年以下の懲役、1000…
トラックバック:0
コメント:1

続きを読むread more

不正競争防止法の「営業秘密」、著作権法の「プログラムの著作物」に関する最新裁判例の紹介

【東京地判平成25年12月25日(判例集未登載)】 <事案の概要>  遊技場向け電子制御機器の製造,販売等を行っている原告が,従業員であった被告らと被告らの転職先である被告会社に対して,原告のパチンコ・スロット用の呼出ランプを開発・製造するためのソースプログラム、図面、データベースなどの技術情報が営業秘密に当たるものであり,被告…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

営業秘密についての最新裁判例のご紹介

【東京地判平成26年3月18日(判例集未登載)】 <事案の概要> 美容サロンと化粧品等の販売業を営む原告が,原告の取締役であった被告に対して,①原告が被告に開示した本件営業秘密(原告の顧客情報、原告の販売する化粧品や美容器具の効果に関する情報、原告が販売する健康食品・健康飲料の製造や製品に関する情報など)を被告が不正の利益を得る…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ブログ開設のごあいさつ

はじめまして。弁護士をしている南谷英幸といいます。 4月1日という年度の始まりを迎えたのを契機として、この度、法律に関連するブログを開設することにしました。 私が弁護士として取り扱っている分野は幅広いのですが、最近は企業情報の保護に関する法律(不正競争防止法、EEA等)やサイバー犯罪、デジタルコンテンツと知的財産権、メンタル…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more